スーパーカブでのんびり、GT4で全力疾走—二つの世界で得る自由

日常ではスーパーカブで静かに街を走り、家に帰ればGT4で思い切りアクセルを踏み込む──。一見するとまったく異なる二つの乗り物だが、この切り替えが僕にとって大きな心の支えとなっている。穏やかでゆったりとした現実と、全力で駆け抜ける仮想空間。そのギャップがあるからこそ、日々のストレスがほどけていくのだ。
スーパーカブでのんびり、GT4で全力疾走—二つの世界で得る自由
スーパーカブの魅力と、どうしても感じる物足りなさ
スーパーカブは、街中のあらゆる風景に自然と溶け込む存在だ。買い物でも通勤でも、どんな用途でも軽快に走ってくれる小さな相棒。燃費は驚くほど良く、メンテナンスも手間がかからず、誰にとっても扱いやすいバイクだ。
しかし、その万能さは反対に「制約」でもある。信号が青になった瞬間の出足はどうしても遅く、坂道に差し掛かれば、エンジンが必死に頑張っている音だけが響く。周りの車に追い抜かれながら、「もう少し力があればな…」と心の中で呟いてしまうことも少なくない。
特に50km以上の巡航では、風圧に押され、体が後ろへ引っ張られる感覚に耐えながら走ることになる。スーパーカブは本来のんびり走るバイクだとわかっていても、流れが速い道路ではどうしてもストレスとなる。アクセルを握る手に無意識に力が入り、心の余裕を少しずつ削っていくような感覚があるのだ。
GT4が与えてくれる「もう一つの解放」
そんな現実での小さなもどかしさを全部解き放ってくれるのが、家に帰ってセットするPS2の『グランツーリスモ4』とハンドルコントローラー(ハンコン)だ。ハンコンを握った瞬間、視界が切り替わり、現実の重さや制約がすべて遠ざかっていく。
GT4では、憧れのスポーツカーやスーパーカーを自分の手で操ることができる。F1カーやCカーのような怪物じみた加速から、日産スカイラインGT-RやホンダNSXといった日本車の実力まで、現実では到底手が届かないマシンがズラリと並ぶ。アクセルを少し踏み込むだけで車体が前に飛び出し、「これだよ、これ…!」と思わず声が漏れるほどの爽快感が押し寄せる。
さらに、GT4の魅力はコースの再現度にもある。ニュルブルクリンク北コースの起伏や連続コーナー、鈴鹿サーキットの高速S字、モナコのタイトな市街地。どれも実際に走っているようなリアリティがあり、ハンコンの振動や抵抗が本物のグリップ感として手に伝わる。現実では絶対に味わえない、極限のスピードと集中力の世界だ。
二つの乗り物が心にもたらすバランス
GT4で思い切り走る時間は、単なるゲームではなく、心を解放してくれる「もう一つの走り」だ。現実で溜まったもどかしさやストレスが、加速音とともに霧のように消えていく。画面の中で自由自在に車を操ることで、気持ちが一気に軽くなり、スーパーカブに乗っていたときの小さな苛立ちさえも笑えるほどだ。
不思議なことに、GT4で全力疾走を楽しんだあとは、スーパーカブのゆったりした走りにもまた別の魅力が現れる。ゆっくりとした加速、静かなエンジン音、風を感じながら街を流す心地よさ。速さとは違う「余白」のような魅力があるのだ。
つまり、スピードと静けさ、そのどちらもが僕には必要なのだと思う。スーパーカブは日常を穏やかに整えてくれ、GT4は心にたまった高揚感の欲求を満たしてくれる。二つの世界を行き来することで、僕はようやく一日をバランスよく終えられるのだ。
おそらく次の週末も、スーパーカブでのんびり街を走り、家に帰ればGT4でフォーミュラカーやCカーに乗ってニュルブルクリンク北コースを最高370kmで走るだろう。この二重の楽しみ方が、僕の生活に確かな彩りを与えてくれている。

