【徹底比較】クロスカブ110とスーパーカブ110、どちらがアナタの用途に最適か?

ホンダが誇る国民的バイク、スーパーカブ110(JA59)と、その派生モデルであるクロスカブ110(JA60)。どちらも同じ109ccのエンジンを搭載し、燃費の良さや耐久性は共通していますが、その乗り味、デザイン、そして最適な用途は大きく異なります。初めてカブを選ぶ方にとって、この二択は非常に悩ましいものです。本記事では、両モデルのスペックの比較に留まらず、実際のオーナー体験や、通勤・レジャーそれぞれのシーンでの使い勝手を徹底的に比較し、あなたが本当に満足できる一台を見つけるための詳細なガイドを提供します。
このページの目次
1. 基本構造とコンセプトの決定的な違い
スーパーカブ110とクロスカブ110の比較は、単なるデザインの違いではありません。それぞれのモデルが持つ設計思想が、すべてのパーツに反映されています。
1-1. デザインとキャラクター
スーパーカブ110: 「働くバイク」としての普遍的な美しさを追求した結果、機能美に溢れています。レッグシールドは雨風や泥跳ねからライダーを守る実用性が高く、日常の移動手段としての完成度が非常に高いです。カラーバリエーションも伝統的で飽きのこないものが中心です。
クロスカブ110: 「遊びのバイク」としてデザインされ、タフネスさと遊び心を強調しています。パイプハンドル、剥き出しのレッグスペース、大型のヘッドライトガードなど、オフロードテイストを取り入れた外観は個性的です。このルックスが、キャンプや釣りといったアウトドアユーザーから絶大な支持を得ています。
1-2. 主要スペック詳細比較
共通のエンジンながら、車体構成の違いからくる細かな差が乗り味に影響します。
| 項目 | スーパーカブ110(JA59) | クロスカブ110(JA60) |
|---|---|---|
| コンセプト | 日常の実用性・ビジネス | レジャー・アドベンチャー |
| 車両重量 | 107kg | 107kg |
| シート高 | 738mm | 780mm |
| 最低地上高 | 138mm | 163mm |
| 燃料消費率(WMTC) | 67.0km/L | 66.8km/L |
| タイヤ種類 | ロードパターン(チューブ) | セミブロックパターン(チューブレス) |
特に注目すべきはシート高と最低地上高です。クロスカブの方が最低地上高が高く、未舗装路で腹を擦るリスクが低くなっています。しかし、その分シート高も高くなるため、小柄なライダーにとってはスーパーカブの方が足つきがよく安心感があります。
2. 走行性能と操縦性の体感レビュー
スペック表では見えない、乗ってみて初めてわかる両モデルの体感的な違いを解説します。
2-1. 街中での取り回しと足つき
スーパーカブは、シート高が低く車体が細身なため、信号待ちでの足つきが非常に良好で安心感があります。狭い駐輪場での押し引き(取り回し)も楽に行えるため、日常のストップアンドゴーが多い街乗りでの疲労が少ないです。
一方クロスカブは、シート高が高いため視点が高くなり、運転時の見晴らしが良いというメリットがあります。取り回し自体はカブと変わりませんが、信号待ちで両足のつま先がギリギリになる場合、スーパーカブよりも不安を感じる可能性があります。特に身長160cm以下の方は、試乗をおすすめします。
2-2. 走行安定性と乗り心地
スーパーカブはオンロードタイヤを装着しており、舗装路での走行安定性が高く、コーナーリングもスムーズです。サスペンションも日常の衝撃を吸収することに特化しています。
クロスカブは、セミブロックタイヤと高めの最低地上高により、路面状況の変化に強いのが特徴です。アスファルトのひび割れ、砂利道、キャンプ場の芝生など、多少の悪路であれば安心して走行できます。また、パイプハンドルにより、スーパーカブよりも自由な乗車姿勢を取れるため、長距離でも疲れにくいと感じるライダーもいます。
2-3. 安全装備(ブレーキシステム)
現行の110ccモデルは、両車ともフロントに油圧式ディスクブレーキとABS(アンチロック・ブレーキ・システム)を装備しています。特に滑りやすい路面での急ブレーキ時にタイヤロックを防いでくれるため、安全性が大幅に向上しています。リアブレーキはドラム式で、フロントブレーキをかけるとリアにも適度な制動力がかかるコンビブレーキの機能も備わっており、初心者でも安心して操作できます。
3. 用途別:最適なモデル診断と具体的なメリット
あなたのライフスタイルに照らし合わせ、どちらのモデルが「相棒」として最適かを診断します。
3-1. 【日常・実用性】通勤・配達・買い物での優位性
→ スーパーカブ110の圧倒的勝利
- 積載性: 荷台が広く、安定性が高い設計です。特にビジネスボックス(大型リアボックス)を装着する際の相性は抜群で、重い荷物を積んでも車体のバランスが崩れにくいです。
- 防風性: 大型レッグシールドが、雨天時や冬場の走行で足元への風の巻き込みや水跳ねを大幅に軽減してくれます。通勤時の快適性が格段に向上します。
- 給油の利便性: 燃料キャップがシート下ではなくリアキャリア横に配置されており、荷物を満載したままでも給油しやすいのが大きなメリットです。(モデルチェンジにより給油口の位置が変更になっている場合がありますが、実用面での配慮がされています。)

3-2. 【非日常・趣味】ツーリング・キャンプ・レジャーでの優位性
→ クロスカブ110の圧倒的勝利
- 未舗装路の走破性: セミブロックタイヤと高い最低地上高は、キャンプ場へのアプローチや林道での安心感に直結します。
- カスタムの楽しさ: フロントキャリアやエンジンガードなど、オフロードやアドベンチャースタイルを追求した純正・社外カスタムパーツが非常に豊富で、自分の趣味に合わせた一台に育てていく楽しさがあります。
- 長距離の快適性: パイプハンドルは、長時間の運転で疲労がたまりにくいとされる自然な姿勢を可能にします。

4. カスタムと所有コストの比較
購入後の楽しみであるカスタムと、経済性についても比較検討します。
4-1. カスタムの方向性の違い
スーパーカブ110: 主に実用性と快適性の向上を目的としたカスタムが人気です。大型スクリーン、グリップヒーター、大型のボックスなど、ビジネスライクな外観を崩さず、より快適な移動手段とすることに重点が置かれます。クラシックなスタイルに寄せるカスタムも根強い人気があります。
クロスカブ110: アドベンチャースタイルとルックスの追求がメインです。マフラー交換によるサウンドカスタム、ヘッドライト周りのLED化、カラーリングの変更など、趣味性を高める方向へのカスタムが主流です。純正状態でも個性があるため、カスタムしなくても十分楽しめます。
4-2. 初期費用と維持費
新車価格: クロスカブ110の方が、装備の豪華さからスーパーカブ110よりも数万円ほど高価に設定されています。初期費用を抑えたい場合は、スーパーカブ110に軍配が上がります。
燃費・維持費: 燃費はわずかにスーパーカブ110の方が優れていますが、年間を通じたガソリン代の差は微々たるものです。どちらも原付二種のため、税金や保険料はほぼ同等で極めて経済的です。自動車保険のファミリーバイク特約を利用できる点も共通しており、維持費の安さはカブ全体の最大の魅力です。
4-3. 中古市場とリセールバリュー
両モデルとも非常に人気が高く、中古市場での価格は安定しています。特にクロスカブは趣味性が高いため、限定色やカスタム車が高値で取引される傾向があり、リセールバリュー(再販価値)はクロスカブの方がわずかに高いと評価できます。売却時の価格を重視するなら、クロスカブのほうが有利になる可能性があります。
5. 最終結論:後悔しないための選び方
スーパーカブ110とクロスカブ110は、どちらを選んでもカブならではの「壊れにくさ」「低燃費」「経済性」というメリットを享受できます。後悔しないために、以下の質問に答えてみてください。
質問1: 週末、あなたは何をして過ごしたいですか?
- A. 友人とカフェ巡り、または近所の買い物や用事を済ませたい → スーパーカブ110
- B. 遠出してキャンプ場や海、山へ行き、非日常を楽しみたい → クロスカブ110
質問2: バイクの主な使用目的は何ですか?
- A. 毎日片道10km以上の通勤・通学で使うことがメインだ → スーパーカブ110
- B. 趣味の道具として、デザインとカスタムを楽しみたい → クロスカブ110
質問3: 足つきに不安がありますか?
- A. 身長が低く、足つきの安心感を最優先したい → スーパーカブ110
- B. 足つきは問題ない。視点の高さを活かした運転を楽しみたい → クロスカブ110
どちらも素晴らしいバイクですが、迷ったら「実用性ならスーパーカブ、趣味性ならクロスカブ」というシンプルな判断基準で選ぶのが最も後悔のない道です。ぜひ一度、お近くのバイク店で実車を比較し、あなたのカブライフをスタートさせてください。






